日本神話に学ぶ「和のこころ」


■日本神話に学ぶ「和のこころ」

~「古事記」に記された日本神話に見る日本人の心の原風景~

 

日本は古来から「大和(やまと)の国」と言われてきました。また日本人は「和(わ)」を重んじる国民であると見られています。こうした「和のこころ」は日本の神話の中に見出すことができます。

 

日本神話、特に「古事記(こじき)」の中には、このように記されています。アマテラス大御神(天照大御神)の子孫であるニニギ命(天津日高日子番能邇邇芸命)が、この国・豊葦原中国(とよあしはらなかつくに)を治めるため「天孫降臨」する前に、この国はオオクニヌシ神(大国主神)が治めていたことが記されています。

 

オオクニヌシ神とは、アマテラス大御神の弟神で八岐大蛇を退治したスサノヲ命(須佐之男命)の子孫です。子供頃に聞いた昔話の「因幡の素兎(いなばのしろうさぎ)」の物語の主人公でもあります。

 

オオクニヌシ神が治める国は、「豊葦原葦原中国(とよあしはらなかつくに)」とか「豊葦原瑞穂国(とよあしはらみずほのくに)」と呼ばれ、神代には大変に豊かな国でした。アマテラス大御神は、この国は自分の子孫であるニニギ命が治めるべきだと考え、オオクニヌシ神に国を譲るよう求めます。子供の反対はあったもののオオクニヌシ神はこれに従い、立派な宮殿の建設と引き換えに「国譲り」を承諾します。この日本の国の起源を伝える物語に、戦って奪い取るのではなく話し合いによって解決しようとする日本人の「和」の精神を見ることができるのです。

 

アマテラス大御神は、話し合いによる「国譲り」を交渉し、まずはタケミカズチ神(建御雷神)とアメノトリフネ神(天鳥船神)を遣わします。この申し出に対し、オオクニヌシ神(大国主神)は「私の一存では決めらぬ。子のコトシロヌシ命(事代主命)に聞いてくれ」と言います。父であるオオクニヌシ神(大国主神)は一人で物事を決めずに、子たちの意見を尊重しようとします。

 

コトシロヌシ命(事代主命)は、国譲りを承諾します(船を踏み傾け、手を逆さに打って青柴垣に変えて、その中に隠れます)。しかし、もう一人の子であるタケミナカタ命(建御名方命)は反対し、タケミカズチ神(建御雷神)に力比べを挑みます。結局、タケミナカタ命(建御名方命)は信濃国の諏訪湖まで逃げたところで敗れ、国譲りに同意します。

 

子たちが同意したと聞いたオオクニヌシ神は、「二人の子供たちが天津神に従うのなら、私もこの国を天津神に譲ろう。その代わり、私の住む所として、天の御子が住むのと同じくらい大きな宮殿を建ててほしい。私の百八十神(ももやそがみ)たちは、コトシロヌシ命に従って天津神に背かないだろう」と言い、「国譲り」は行われました。

 

このように争いではなく、先住の神からの「国譲り」は、話し合いを基に行われ、一部争い事はありましたが、互いの合意という形で国譲りが行われたと物語っています。単なる国を併合するのではなく、国を譲り受けた側が譲った側に対し、最高の礼を尽くしています。アマテラス大御神は、アメノヒスミノミヤ(天日隅宮)という大きな宮殿を造り、アマテラス大御神の子であるアメノホヒ命(天穂日命)を大国主命の霊に祀らせます。この宮殿が杵築大社、今の出雲大社の起源だと言われています。そして天穂日命の子孫は、今も出雲大社の宮司の職を継承しています。

 

この神話の物語は、明治維新の歴史的事実と似ている所があります。幕末の日本、西欧列強が日本に開国を迫る時代に、朝廷と幕府は争いを避け、交渉を重ねた末に、幕府の徳川慶喜は朝廷に大政を奉還します。慶喜はこのことを一人で判断するのではなく、家臣や諸大名の意見を聞いたうえで決定します。そして薩摩藩の西郷隆盛と幕臣の勝海舟が話し合い、江戸城は無血で開城され、日本国の権力の移譲は行われます。

 

徳川慶喜は、後に明治天皇から貴族に叙され、徳川家は名誉ある形で存続しています。また初代将軍・徳川家康を祀った日光東照宮は潰されることもなく、今日も大切にされています。こうした日本神話の物語や歴史を見ると、そこに日本人の考え方が現れています。 

 

日本人は神代から、「和」が重んじられてきた民族だったのです。私たち日本人は世界にも類を見ない「和」の精神を貴び生きてきた人たちなのです。私たちのこうした精神には、世界の平和を祈り調和を重んじる和の心が込められているのです。

 

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神社プロデューサー 山本一男

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